転移性小腸腫瘍とは?
消化管に発生した悪性腫瘍のうち、
他の臓器の悪性腫瘍が腸管壁に転移して浸潤、
発育したものを消化管転移性腫瘍と言います。
消化管転移性腫瘍の多くは、
手術中に偶然発見されたり、
悪性腫瘍の末期に全身的な転移の一部現象として
見られたりするというのが実情です。
中でも小腸腫瘍は重篤な合併症を起こして
初めて気づかれるということが未だに多い疾患です。
転移性小腸腫瘍とは
消化管転移性腫瘍のうち、
最も頻度が高い部位が小腸です。
ただし小腸腫瘍の場合には
小腸が原発臓器であるケースが
最も多いとされています。
他の研究チームの報告によると、
他の臓器からの転移では、胃29.1%、
大腸28.2%、膵臓14.5%、子宮12.8%、
卵巣9.3%、肺9.3%との報告があります。
他の臓器からの小腸腫瘍では
腹部臓器からの転移が90.7%を
占めているとの報告もあります。
小腸に転移する確率が高い
悪性腫瘍の原発部位は、
近隣臓器や腹腔内臓器が多いと言えます。
剖検例の転移性小腸腫瘍は、
胃がんや膵臓がんを代表とする
腹腔内臓器の悪性腫瘍が播種性転移もしくは
直接浸潤の形で転移する場合が多いとされています。
また腹部臓器からの転移が
確認された症例のほとんどは
小腸へ連続した浸潤性の
転移であるとも言われています。
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遠隔転移をきたしやすいことで
知られる肺がんについては、
消化管への転移は比較的少ないとされています。
剖検例で肺がんからの転移と確認されたケースは、
胃が4.5%、小腸が5.6%、
結腸・直腸・虫垂に転移したのが
3.1%との報告もあります。
肺がんが小腸に遠隔するケースは多くないと言えます。
ただし転移性小腸腫瘍の
原発病巣としての肺がんは、
腹部臓器以外の
原発巣として重要な位置を占めます。
肺がんの組織型では大細胞がんは少ないとされています。
その大細胞がんが
小腸に転移しやすいということも
分かってきました。
カプセル内視鏡や
ダブルバルーン内視鏡の登場によって
小腸腫瘍の診断は急速に進歩してきました。
しかし小腸腫瘍は腫瘍が
増大して重篤な合併症を起こしてから
診断されることが依然として多い疾患です。
手術中に偶然発見されることも少なくありません。
剖検例の積み重ねによって、
小腸腫瘍の実態が解明されることが望まれます。
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