消化管出血で尿素窒素(BUN)が上昇するのは?治療や貧血の心配は?
腎臓の機能が正常かどうかを判断する検査に
BUNというのがあります。
Blood Urea Nitrogen の略で
日本語では「血液尿素窒素」と呼ばれています。
血液中にある尿素窒素の濃度を測定する検査です。
尿素窒素とは、
タンパク質の最終分解産物である
尿素に含まれる窒素の量です。
BUN上昇の一因としての上部消化管出血
食事で摂取したタンパクや
組織タンパクは分解されてアミノ酸になります。
アミノ酸の分解産物である
アンモニアは肝臓で代謝されて尿素が生成されます。
血中に放出された尿素は腎糸球体で濾過され、
一部尿細管で再吸収されて尿中に排泄されます。
血液中の尿素に含まれる窒素量を測定したのがBUNです。
BUNの異常は、
主に腎臓からの排泄異常を反映しますが、
それ以外の因子にも強く影響を受けます。
腎外性因子としては、
食事のタンパク量はもちろん、
脱水、心不全、
肝臓の疾患などがあげられます。
そして、
上部消化管出血によっても
尿素窒素は増加します。
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上部消化管から出血が生じた場合、
血液もタンパク質を多量に含むため、
血液中のタンパク質が
消化吸収されてタンパク質の分解が盛んになり、
腎臓の排泄能力を上回ってしまうことになります。
そのため、
上部消化管出血によってもBUNは
上昇すると考えられています。
ただし、
出血したばかりの時には、
まだタンパク質が分解されておらず、
BUNは上昇しません。
BUNは腎糸球体濾過率が
30%前後に低下して
はじめて上昇すると言われるため、
腎機能のスクーリングとしては
クレアチニンと併せて測定します。
BUNが高値の場合には
BUN/Cre比を計算することによって
腎外性因子の程度を推定し、
BUN/Cre比 10以上なら
腎外性因子と考えて診断や治療に役立てています。
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