上部消化管出血でBUNが上昇!CR比について!
消化管出血の診断に有用とされているのが内視鏡検査です。
内視鏡検査を行う際は、
患者がショック状態を離脱して
全身状態が安定することが原則とされています。
しかし臨床現場では
ショック状態を伴うような場合には、
仮に一旦ショック状態を
回避できても再出血が起こる危険性は高く、
早急に内視鏡的な止血が
必要になることもしばしばあります。
内視鏡を行う判断材料としてのBUN高値
日本消化器内視鏡学会の内視鏡ガイドラインでは、
動脈性出血など止血しない限り
ショックから離脱し得ないような場合は、
急速輸血やモニタリングなど
全身管理を厳重に実施しながら
緊急内視鏡に踏み切る考え方が
強くなっていることを指摘しています。
特に上部消化管出血では、
できるだけ早急に内視鏡検査を行って出血源を特定し、
必要であれば内視鏡的な止血を行うことが望ましいとされています。
緊急内視鏡に踏み切る判断材料の一つにBUNがあります。
BUNは血液尿素窒素のことで、
腎機能を確認するのに使われる検査です。
BUNは腎糸球体濾過率が
30%前後に低下してはじめて上昇すると言われるため、
腎機能のスクーリングとしては
クレアチニンと併せて測定しBUN/Cre比の値で
上部消化管出血の可能性を検討します。
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BUNとCreの比は正常では10前後とされます。
BUN/Creが10を超えるとタンパク異化亢進、
脱水などとともに上部消化管出血の疑いが出てきます。
20以上の時には上部消化管出血や脱水が疑われます。
食道、胃、
十二指腸と言った上部消化管からの出血では
BUN/Creが20を超えるケースが
非常に多いとする報告もあります。
また平均値の比較では、
食道が胃や十二指腸よりも
有意に高いとの指摘もあります。
BUN/Creが30以上の症例は
上部消化管由来の出血である
可能性が極めて高いと言われています。
BUNを用いて出血量を推定することも可能とされています。
BUN40mg/dlでCreが正常であれば
1000ml 以上の出血が考えられると言われています。
そのような場合には、
全身管理を厳重に実施しながら
緊急内視鏡に踏み切ることが求められます。
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