腹膜播種の症状や痛みは?原因や治療法について!
2015/12/10
がんが進行して起こる遠隔転移の中で、頻度が高いのが腹膜播種です。
がんのできている部位から、がん細胞が周囲にまき散らされて起こる播種性転移の中で、最もよく知られている腹膜播種。
どのような症状が現れるのでしょうか?原因や治療法について、現在分かっていることをまとめてみました。
主な症状は腹水・呼吸困難・腸閉塞
腹膜とは、腹壁の内側や腹部臓器の表面を覆っている薄い膜のことです。
その腹膜にがん細胞が散らばる状態で転移したのが、腹膜播種です。
タネを蒔くように散らばることから、「播種」という言葉が使われています。
腹膜にがん細胞が転移すると、血液の混じった腹水が溜まります。
がんが増殖するにつれて、さまざまな症状が現れます。
腹水が溜まった時にしばしば見られるのが呼吸困難です。
また、小腸や大腸の表面にがん細胞が転移し、がん細胞が大きくなると、腸管を圧迫して食べ物の通りが悪くなり、腸閉塞になります。
腸閉塞は、腹膜播種が引き起こす非常に厄介な症状です。
激しい腹痛、吐き気、嘔吐などの症状に悩まされます。
黄疸も腹膜播種が起こった時に見られる症状です。また、しゃっくりも、腹膜播種との因果関係が認められているようです。
腹膜播種の原因となるのは?
腹膜播種は、腹部の臓器にできたがんが進行し、そこから腹腔内にがん細胞がまかれて転移した状態です。
原因となるがんのワースト3は、胃がん、大腸がん、卵巣がんです。
腹膜播種の原因となるがんで、最も多いのが、胃がんからの転移です。
日本人の場合、腹膜播種のおよそ6~7割は、胃がんから起きたものと言われています。
次いで多いのが大腸がん。
そして、婦人科系のがんですが、婦人科系のがんは、ほとんどが卵巣がんです。
胃、大腸、卵巣など、さまざまな臓器からがん細胞がこぼれ落ちて腹膜に転移してしまうのが、腹膜播種です。
進行しないと見つけにくく、見つけた時にはがんが進行してしまっている厄介な転移がんです。
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治療で注目を浴びているオクトレオチド
腹膜播種は、ほとんどの場合、手術でがんを取りきることができません。
そのため、抗がん剤治療が標準治療になります。
ただし、腹膜播種だけをターゲットにした臨床試験は、ほとんど行われていません。
そのような状況のもと、腹膜播種を患った患者の間で注目を集めているのが、オクトレオチドという薬剤です。
オクトレオチドは、腹膜播種の症状の一つである腸閉塞の治療に用いられる薬です。
腸閉塞の症状を改善する中心的な薬剤の一つが、オクトレオチドです。
このオクトレオチドの効果を調査した研究があります。
がん性腹膜炎による重篤な腸閉塞を起こした終末期の患者を対象に、腸閉塞の治療にオクトレオチドを投与した患者群と投与しなかった患者群の2群に分けて、生存期間を比較した調査です。
オクトレオチドを投与した患者群の方が、有意に長生きだとの結果が出ました。
オクトレオチドには、痛みを緩和させる効果があるだけでなく、がん細胞を死滅させる効果もあるのではないかと注目されています。
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